戦争プロパガンダ10の法則 なぜ人々は疑わずに戦争プロパガンダを受け入れるのか
今年に入ってから「プロパガンダ」という言葉をよく目にするようになりました。
プロパガンダはwebで調べれば出てきますが特定の思想、世論、意識、行動へ誘導する意図を持った行為です。
2020年に入り朝鮮半島では北と南で緊張状態が増していますがプロパガンダとは何なのか。なぜ戦争が起こるのかの基本構造を理解したい気持ちもあり、この機会にアンヌ・モレリ氏の「戦争プロパガンダ10の法則」を読んで見ることにしました。
この本の中ではシンプルに①~⑩の項目で
戦争プロパガンダを説明しています。
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①我々は戦争をしたくない
敵国がせめてきたから仕方なく正当防衛として戦争を始めると宣言する。
②しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
敵国が宣戦布告をしたことで戦争が始まってしまった。相手側に責任があるという論理展開。
③敵の指導者は悪魔のような人間だ
敵国の指導者を悪魔に仕立て注目を集める。敵の具体的なイメージを国民に示す。
④我々は領土や覇権のためではなく偉大な使命のために戦う
国の野望を出すと国民から拒否される可能性が高いので高尚な目的のために戦うと信じ込ませる。
⑤我々は誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる
敵国だけが残虐な行為をしている。自国の軍隊は国民や他国を救うための活動をしていると信じ込ませる。
⑥敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
敵国の残虐性を強調するため自分たちが使用しない兵器だけを「非人道的兵器」として非難する。
⑦我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
状況が不利な場合は自国の被害・損失を隠す。敵国の被害を誇張して伝える情報戦に入る。
⑧芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
人々の心を動かすために感動を呼び起こすのが得意な職業である芸術家や知識人に頼り、この戦争は聖戦であることを印象付ける。
⑨我々の大義は神聖なものである
自国に有利に働くときだけ、戦争は宗教的な意味合いを帯びる。人々に戦争の神聖さを強調し戦争に関わる方向性に持っていく。
⑩この正義に疑問を投げかけるものは裏切り者である
これは正しい情報なのかと国のプロパガンダに疑問を投げる者は裏切り者扱いされ排除される。
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戦争プロパガンダの法則の歴史は古く、今の時代も繰り返し使っていることを初めて知りました。
①~⑩の項目を当てはめて戦争に関する情報を見てみると、それぞれの国の表現は若干違うものの同じテンプレートで宣言されているのはよくわかります。
ほぼ同じテンプレートであるにも関わらず、流れてきたプロパガンダの情報が「正義と悪の対立構造」だと自分の国がやっていることは聖戦で攻撃は正しいことなんだと信じやすい。シンプルなストーリーの方を選択しやすい人間の思考パターンをうまく活用していると思いました。
本の最後の方には情報をそのまま鵜のみにせずとりあえず情報を疑ってみることと書かれていました。
現代の情報社会において、その情報が本当に正しいのか、それとも作られたフェイクニュースなのかの判断する力が、今の時代に生まれた一人ひとりにとってとても重要なスキルになってくると感じている日々です。