さとりのこさとこのブログ

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夏目漱石 こころ あらすじ・まとめ 人との対立意識は「犬が鎖に繋がれたままの人生」と同じ生き方

学校の教材としてもよく使われている夏目漱石「こころ」

その中でも有名なのは映像化もされた「下:先生と遺書」です。

この小説は明治から大正に元号が変わる時期に書かれたもので2019年に元号が変わるタイミングでまとめと解析をしてみることにしました。

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①早くに両親が亡くなり、叔父に面倒を見てもらっていた。叔父に両親の遺産を勝手に使われていることが判明し残りの遺産を持って東京の学校に通うことにした。

 

②東京の下宿先を決め、そこで出会ったお嬢さんとの交流で彼女に対して「愛」が芽生えた。しかし叔父との関係でできた人間不信によって好きになったお嬢さんに対しても「これから先どんなことがあっても人には騙されまい」と決心した。

 

③地元の友人で何をやっても優秀なKが東京に来た。生活に困っていたので自分の下宿先を紹介した。始めは自分が面倒を見ている優越感に浸っていたが段々とKがお嬢さんと仲良くなることに嫉妬しだしていた。

 

④私はKから呼び出されてお嬢さんに好意があることを打ち明けられた。全身が固くなってしまった。「精神的に向上心がないものは馬鹿だ」と恋は道の妨げになると私は反対する立場を取った。

 

⑤Kの知らないうちにことを運ぶ為、仮病を使って学校を休んだ。下宿先の奥さんに「お嬢さんを下さい」と言って承諾をもらった。

 

⑥私とお嬢さんの結婚の話を聞いたKが二日後に自殺。遺書に私のことは何も書いてなかったが、周りの人からはKの死について聞かれた。その後、お嬢さんと結婚した。心機一転して新しい生涯の糸口になると思っていたのに妻の顔を見るとKを思い出す。

 

⑦私はKに対する感情はいつまでも続いた。妻に不満はなかったがこの一点において彼女を遠ざけるようになった。ありのままを妻に打ち明けようとしたが、いざという時に不意に自分以外の力が私を抑えつけた。

 

⑧叔父に欺かれた当時の私は、他人を悪く取るだけであって世間がどうあろうとも立派な人間だという信念があった。それがKのために見事に破壊された。自分をあの叔父と同じ人間だと認識した時に急にふらふらしだし、他人に愛想を尽かした私は自分にも愛想を尽かして動けなくなった。

 

⑨自分が最も信愛している人にですら自分を理解させる勇気が出せなかったと悲しくなった。死んだつもりで生きていこうと決心した私は時々外の刺激でどの方向へ出ようと思い立つが恐ろしい力が働いて私の心をぐいと握り締めて動けないようにする。

 

⑩単調な生活を続けていた私の内面には常にこうした苦しい戦争があった。この牢屋の中にじっとしていることもできず、突き破ることもできなくなった時、一番楽な努力は自殺しかないと感じるようになった。

明治天皇崩御になり乃木大将の死を新聞で知った。私も殉死することを決め、妻には最後まで本当のことを伝えることはせずに自ら命を絶った。

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70年以上前に書かれた作品ですが、他人には見せたくない心の「もろさ」「汚さ」「対立意識」人間が、特に日本人が本来持っている内面的な部分を具体的に書いている作品です。

 

Kが亡くなった後、先生と呼ばれていた人は奥さんを見る度に「K」のイメージが頭にこびりつき自分がKを殺した罪人として「犬が鎖でつながれてぐっと引っ張られる」かのように永遠と同じ考えをグルグルと堂々巡り。

さらにはこの考えの鎖を自分で切る方法もわからず人にも相談せず。最後はその考えから解放されたいが為に自ら命を絶つことを選択したのです。

 

この自分自身でがんじがらめにした考えの鎖は「自分の中で勝手に作り上げた対立意識」と「究極の思い込みの中の思い込み」です。


人間が苦しむ根本原因を知り、すべての問題を「ゼロ」ベースから認識できるようになることで何故その考え、感情にとどまっていたのか客観的な理解と解決の糸口を見つけることが可能となります。

 

受け取った情報知識をどのように自分の「考え」「感情」「言葉」「行動」「人間関係性」に活用するかはすべてを「ゼロ」ベースから認識すること。自分の考えを再構築できる能力を一人ひとりが身につけることで大きな問題から小さな問題までも解決できる社会に変化を作ることも可能だと感じています。

 

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